グラファイト(カーボン)シャフトのスペックや解説には、一般的にはあまり聞きなれない言葉もよく出てきます。
漠然と理解されている方もいらっしゃると思いますが、ここではそんな言葉をピックアップして説明していきます。
まずはよく「4軸カーボン」などと言われる「軸」について。グラファイトシャフトは「カーボンシート」と呼ばれる、カーボンヤーン(糸)を編んで作られたシートを巻くことで作られます。その中で、縦・横・斜め45°・斜め-45°の4方向から、カーボンヤーンをクロスさせシート状にした物(プリプレグ)が「4軸カーボンシート」と呼ばれるものです。
斜めに2本入ることによって、どの方向からの「ねじれ」に対しても剛性を発揮する作りになります。もちろんシャフトメーカー各社ともに、カーボンヤーン間のピッチ(間隔)などを工夫することで、独自のアレンジ・味付けを施しています。
また現在は、さらに網目を細かくした「6軸」や「8軸」なども登場してきています。
次は40tや50tなどと言われる「t(トン)」について。カーボンにおいてt(トン)数というのは、「引張弾性率」を表すのに使われます。ざっくりと言うと、そのカーボンが「どれだけ硬いか」を表す指標です。
正式には「○○t/mm^2」という単位がつくものらしいのですが、一般的にはトン数だけで表されています。おおよそ40tを境に、数字が低いと「低弾性」、数字が高いと「高弾性」と呼ばれる傾向にあります。値段が高いのは「高弾性」なのですが、必ずしも「高弾性」が性能が良いというわけでもなく、最近では組み合わせることで、シャフトを特徴を付ける要素にもなっています。
最後に「スパイン(背骨)」について。前述した通り、シャフトはカーボンシートを巻くという製法上、どうしても厚みに不均衡が生まれます(図参照)。そこで出来た厚い箇所、つまり硬い箇所をスパインと呼びます。
ただしこのスパイン、程度の差こそあれシャフトには何箇所もあります。そのためスパインアライメント(スパインの位置合わせ)は、1箇所のスパインのみで考えるのは誤りだと言われています。
またスイングの際のシャフトの挙動はとても複雑なため、色々な考え方や理論がありますが、実のところスパインに関しての決定的な方法論は、まだ確立されていないというのが現状です。